太陽光発電の寿命は何年程度かご存知ですか?
大きな買い物ですから5年、10年程度で使えなくなってしまっては困りますよね?
ご安心ください、太陽光発電は30年前後、もしくはそれ以上の寿命を期待できる非常に耐用年数の長いシステムとなっています。
今回は太陽光発電の寿命・耐用年数について、実際に30年以上発電している太陽光発電の実例を交えて解説していきます。
また、より耐用年数を延ばし長く発電させる為のメンテナンスについてもご紹介しています。
既に太陽光発電を設置されている方も太陽光発電の耐用年数やメンテナンス方法を知っておいて損はありません。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事のタップできる目次
太陽光発電とは再生可能エネルギーである太陽の光で電気を発電する環境に優しい発電方法です。
自宅の屋根などに設置するだけで手軽に自家発電ができるので人気があります。
また、発電した電気はご自宅で消費するだけでなく、電力会社に売電することができるのも人気の一つです。
海外では新築時に太陽光発電の設置を義務化している地域もあり、その環境効果は見過ごせないものがあります。
今後、家庭用蓄電池やEV・V2Hの普及により更に太陽光発電の価値は高まっていくでしょう。
太陽光発電についてはこちらで詳しく解説しています。
太陽光発電を設置する上でどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは以下のような太陽光発電のメリットをご紹介します。
太陽光発電の適正価格は1kWあたりの単価(kW単価)で表します。
気になる太陽光発電の適正価格は1kWあたり、約250,000円前後です。
見積り金額から1kWあたりの単価を確認する場合、下記のように求めます。
太陽光発電の見積り金額 ÷ 太陽光発電の発電容量 = kW単価
例えば、発電容量6kWの太陽光発電の見積り金額が1,500,000円であれば、
1,500,000円 ÷ 6kW = 250,000円/kw
以上のようになり、適正価格ぴったりでの見積りだと分かります。
メーカーや設置枚数、設置工法によってはある程度前後しますが、それでも適正価格で販売している業者であれば20万円代から外れるようなことはないでしょう。
太陽光発電の適正価格について、こちらの記事でより詳しく解説しています。
太陽光発電の寿命は製造元のメーカーより明言されている訳ではありません。
太陽光発電の寿命を表す際、一般的には「発電出力の低下」が挙げられます。
例えば、各太陽光発電メーカーの発電出力保証内容の中で「20年間で発電出力が製造時の80%以下に低下した場合、保証を適用する」という旨の文言が確認できます。
(メーカーによって数値は異なります。25年間:72%、25年間:85%のメーカーなどもあります)
つまり、メーカーとしては発電出力80%以下は交換・修理が必要と位置づけているのです。
その中で、複数の太陽光発電が30年以上80%以内を保ちながら電気を作り続けている実績があります。
30年以上前の太陽光発電が現役で動いている現状、最新の太陽光発電では少なくとも30年以上の寿命があると言っても差し支えないでしょう。
では、実際に長期間稼働している太陽光発電をいくつかご紹介します。
1966年、世界で初めて太陽光発電を電源装置として離島の灯台に設置、無人化に成功したのが長崎県にある「尾上島灯台」です。シャープ製の太陽光パネルを設置しています。
12年後の1978年に強風や塩害の対策を施したパネルへと交換、31年後の2009年に灯台のライト交換と同時にパネルも当時の最新式に交換をしています。
尾上島灯台以前に、日本で初めて太陽光発電を設置した灯台は、1959年の山口県「周防筏瀬灯標」の太陽光発電です。
しかし、当時の太陽光発電が現在も稼働しているかについては確認する事ができませんでした。
これらの灯台に太陽光発電が設置されて以降、日本中の灯台へ徐々に太陽光発電が設置・無人化されていきます。そして2006年、遂に最後の有人灯台であった長崎県「女島灯台」へシャープ製太陽光発電が設置され、日本の灯台は全て無人灯台となりました。
長期間に渡り安定して電気を供給できる太陽光発電を採用したことで、特に尾上島灯台のような離島灯台で使用される発電用の石油使用量は大幅に削減されました。
今日、海を照らしているのは海の安全だけでなく、環境にも配慮した明かりです。
参考:シャープ公式サイト「太陽電池を利用した長崎県御神島(現・尾上島)灯台」
参考:シャープ公式サイト「導入事例」
参考:海上保安庁「日本最大の太陽電池灯台誕生」
参考:海上保安庁「女島灯台無人化へ」
奈良県高市郡高取町の南法華寺では1983年、照明用としてシャープ製の太陽発電を40枚設置。以来30年以上、大観音石像を照らし続けてきました。
設置から28年が経った2011年に信越科学が太陽光パネルを一時的に取り外し、精密検査を行ったところ、全40枚のパネルの発電出力の低下率平均はたったの6.43%との結果が公表されています。
その際、発電出力が20%以上低下していたパネルは2枚あったようですが、検査結果はメーカーにも共有され、劣化原因は対策されています。
また、検査されたパネルは全て南法華寺へ戻され、2023年の設置40年調査に向けて今日も電気を作り続けています。
その調査結果で太陽光発電の大まかな寿命が分かるかもしれませんね。
参考:産経新聞「稼働33年の壷阪寺の太陽光発電パネルの性能は? 産総研が調査 奈良」
参考:マテリアル学会誌 Vol.25 No.2「太陽電池モジュール耐久性の現状」
1984年に京セラが管理する千葉県「佐倉ソーラーエネルギーセンター」に太陽光発電が設置されました。もちろん使用している太陽光パネルは京セラ製です。
先程ご紹介した南法華寺と同時期にあたり、太陽光発電黎明期の当時、各太陽光発電メーカーが鎬を削っていたのが分かります。
京セラでは定期的に発電出力の検査を実施しており、設置から31年が経過した2015年の結果では低下率はわずか13%となっています。この数値は実際に測定した数値に測定精度やばらつきなど様々な外的要因を加味して算定されているようです。
また現在では30年以上前にこの太陽光パネルを製造した当時の評価基準よりも、より厳しい基準を設けていると公表しており、より耐用年数の長い太陽光パネルを期待できます。
参考:京セラ公式サイト「京セラの特徴」
参考:日経XTECH「<第5回>京セラの“こだわり”」
灯台や施設ではなく家庭用太陽光発電としては1992年に設置された大阪府「桑野太陽光発電所」が有名です。
こちらは三洋電機株式会社の元社長、桑野氏のご自宅に設置された太陽光発電です。日本で初めて固定価格買取制度による売電を開始しました。
それから30年経った現在でも変わらずに電気を発電しています。
実際にはもっと以前に家庭用で設置された太陽光発電もあるとは思いますが、記録として残っているのはこちらが最長となっています。
参考:スマエネ放送「初の“逆潮流”から25年 太陽光発電設備はいまも安定稼働」
南法華寺などの例を見ても太陽光発電は30年以上も電気を発電し続ける事ができる非常に耐用年数の長いシステムです。
下記に先程ご紹介した各太陽光発電の設置年数をまとめておきます。
例えばインターネットで「太陽光発電 耐用年数」と調べると太陽光発電の法定耐用年数について説明しているサイトが表示されると思います。
簡潔に伝えると、法定耐用年数は税法上で定めれている年数であって実際の太陽光発電の耐用年数とは全く関係ありません。
太陽光発電の法定耐用年数は17年となっていますが、これまでご紹介してきたように実際には30年以上の長寿命を期待できますのでご安心ください。
太陽光発電はメンテナンスフリーの発電装置と言われています。仕組みも比較的簡単な作りで不具合やトラブルが非常に少ないのが特徴です。
しかしながら、30年・40年と発電させるのであればやはり何かしらのメンテナンスは必要になってくるでしょう。
ここでは太陽光発電に施すメンテナンス方法をご紹介します。
ほとんどの作業は4〜5年に一度の作業で問題ありません。
またメンテナンスは屋根での作業など大変を伴います。
実施の際には必ず専門業者に依頼していただくようお願い致します。
慣れない屋根上での洗浄作業は非常に危険なので必ず専門業者に依頼してください。
太陽光パネルは基本的には角度をつけて設置しているので、多少の汚れであれば雨が降った時などに自然に洗い流してくれます。
しかし、鳥の糞などがこびり付いてしまった場合はその限りではありません。
そのような汚れが長期間付着したままの場合、その部分は影になってしまいます。
すると、影になったしまった部分は発電をしません。長期間、一部分が発電しない状態が続くと周りの発電している部分との電圧差で熱を持ち、溶けてしまいます。
この状態を「ホットスポット」と呼び、最悪の場合は火災の原因となります。
家庭用の太陽光発電で火災にまで発展することはほとんどありませんが、万が一の事態を防ぐ為にも太陽光パネルの定期的な洗浄をオススメします。
また、同様の理由でパネルに木の枝がかかって影になっている場合は剪定しておいた方がいいでしょう。
太陽光発電にトラブルが起こるとほとんどの場合、発電量が下がります。
いち早く太陽光発電に起こっているトラブルを察知し、故障などの範囲がそれ以上広がらないように気をつけましょう。
太陽光発電を設置した際、ほとんどの場合は発電量を確認できるモニターが設置されます。
定期的に発電量の履歴を確認していただき、雨が続いているわけでもないのに突然発電量が下がっていれば点検を依頼するようにしましょう。
太陽光発電で作った電気を直流電流からご家庭で使用する交流電流に変換する重要な機器がパワーコンディショナーです。
このパワーコンディショナーの上下や側面にある通風孔に埃や異物が詰まっていないか定期的に確認しましょう。
もしも埃や異物が確認できた時は取扱説明書を参考にパワーコンディショナーの運転を一時的に停止させ、掃除機などで埃や異物を取り除きましょう。
パワーコンディショナー内部の換気が上手くできないと機器の故障に繋がります。パワーコンディショナーが故障すると太陽光発電の運転自体が止まってしまうので忘れずに掃除しておきたいですね。
パワーコンディショナーは一般的に10年〜15年で故障すると言われていますが定期的に通風孔を掃除しておけば20年、30年と使うことも可能です。
実際に「桑野太陽光発電所」のパワーコンディショナーは設置から30年経過した現在でも交換なしで電気を変換し続けています。
パワーコンディショナーの寿命についてはこちらの記事でも詳しく解説しております。
感電などの非常事故を防止する為、必ず専門業者へ依頼してください。
太陽光発電から延びている各種ケーブルの傷やねじれ、接合部の緩みなどがあると漏電や発電効率ダウンの原因となります。
数年に一度は点検されることをオススメ致します。
いかがでしたでしょうか。
今回は太陽光発電の耐用年数について実際に長期間使用されている太陽光発電を紹介しながら解説しました。
また、耐用年数を延ばす為のメンテナンスについてもお話させていただきました。
最後に今回の内容を振り返ります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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