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「新しいエコキュートを使い始めてから、浴槽に青い汚れがつくようになってしまったんです」
先日、お客様よりこんなご相談をいただきました。
新しく変えた給湯器から汚れが出てくると驚いてしまいますよね。あまり見慣れない青い汚れともなると、体に害があるのではと不安になるかもしれません。
でも大丈夫。こうした水回りの青い汚れは銅などの金属成分を由来とするもので、健康への影響はありません。今回は、そんな浴槽の青い汚れ・青い水について詳しく解説していきます。
お湯はりをしたばかりの無色透明なはずのお湯が、青っぽく見えることがあります。お湯が全体的に色づいて見えるのであれば、それは光の反射によるものである可能性が高いでしょう。
水には青以外の色を吸収して、青色を反射する性質があります。そのため海や湖が青く見えるのと同じように、浴槽のお湯も青く見えているのです。透明なコップですくってみると、実際には青くないことが分かります。
浴槽の色によっては青みが強まって見えたり、逆に青く見えない場合もあります。
浴槽を縁取るように青い色が付着している場合、それは銅石鹸による汚れである可能性が高いでしょう。銅石鹸とは、銅イオンと石鹸や皮脂などの成分が結合した化合物です。
エコキュートなど、給湯器の配管や水道管に銅が使われている場合、機器の使いはじめに銅の成分が水に溶け出ることがあります。これが浴槽内の石鹸や皮脂と化学反応を起こし、変色しているのです。
銅は本来赤褐色ですが、水や酸素、脂肪分などに触れて化学変化を起こすことがあります。ここでは、銅に由来する青い汚れや錆についてご紹介します。
銅石鹸は、銅イオンと脂肪酸が化学反応を起こして生成される物質です。「水に溶けない」「酸素に触れることで青くなる」という特徴があります。
新しい銅管に水が通るときわずかに銅の成分を溶かし出し、それが浴槽内に付着した石鹸や皮脂を含む湯垢と反応を起こしています。湯垢はお湯のフチに溜まりやすいため、水面の高さに青い汚れができることが多くあります。
「青水」や「青い水」と呼ばれる、浴槽のお湯が青くなる現象があります。これは上記の銅石鹸に起因するもので、銅石鹸が発生したことによりお湯が青く見えてしまっているのです。
水道から直接青い水が出てきているのかと誤解してしまうケースがありますが、新しい銅管を使用していても、青い水が直接出てくることはまずありません。
緑青は銅のサビの一種です。屋外に置かれた銅によく見られる現象で、雨水に晒された銅が大気中の酸素・二酸化炭素などと反応して、緑色の皮膜を生じさせます。
この皮膜は時間をかけて厚くなり、画像のような状態になります。自由の女神や大仏が緑色をしているのも、すべて緑青に由来しています。
また、鉄の錆とは異なり、緑青は保護皮膜の役割を果たします。銅の表面に付着した緑青が、それ以上内側の銅を腐食させないように保護します。
給湯器の配管や水道管には、よく銅管が使われています。銅は熱に強く殺菌作用があるため、長く配管素材として重用されてきました。銅管は世界基準で給湯配管として用いられています。
銅管はしばらく使用することでに内部に亜酸化銅の保護被膜ができ、銅イオンが流れ出さなくなり銅石鹸が生成されることもなくなります。銅石鹸は新しい給湯器や配管を使い始めるタイミングに発生しやすい物質なのです。
現在では耐久性が高くより扱いやすい塩ビ管やポリエチレン管が使われていることも多く、給湯器を設置した際に必ずしも銅石鹸や青水が発生するとは限りません。
冒頭で述べた通り、銅は人体にとって安全かつ必要なもので、過剰に取り込まない限り人体への影響はありません。銅石鹸や緑青、青水も同様に健康への影響はありません。
かつて昭和時代の教科書には「緑青には毒性がある」と書かれていました。そのためご年配の方の中には、現在も銅の青錆をに対してよくないイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。のちに厚生省が6年にわたる実験を行い、その結果「緑青は無害に等しい」と発表しています。
また、銅イオンそのものには抗菌作用があり、レジオネラ菌や大腸菌などの水場に発生しやすい雑菌の増殖を防ぎ、ぬめりや臭いを抑えるはたらきもあります。人体にとっても必須元素である銅(Cu)は、厚労省により栄養機能食品にも指定されています。
健康への影響がないことが分かりましたが、だからといって見過ごすわけにはいきませんよね。見た目も悪いですし、無害とはいえなんとなくお風呂に入りたくなくなってしまうかも…。
そこでここからは、銅石鹸汚れを落とす方法や、おすすめの洗浄剤を紹介していきます。
通常のお風呂用洗剤ではなかなか銅石鹸を落とすことができません。銅石鹸の洗浄に適したものを使う必要があります。銅石鹸用に作られている洗剤や、ガスコンロ周辺の油汚れを落とす洗剤がおすすめです。
汚れを洗剤に浸け、一定時間置いてからスポンジで落とすことで元のきれいな浴槽を取り戻すことができるでしょう。
ただしお風呂用でない洗剤を使用する場合には、種類によって浴槽を傷つけてしまったり、変色させてしまう可能性があります。浴槽の材質を確認した上で洗剤を選ぶようにしましょう。
ボディタオルやバスタオルに青い汚れが付いてしまうこともあるかもしれません。古いものであればちょうどいい機会だからと入れ替えてもいいのですが、新しいもの・大切に使っているものが汚れてしまうとショックですよね。
タオルに付いた汚れは、次の方法で脱色させることができます。
もしもタオルが黄ばんでしまったら、漂白剤を使用してください。
銅石鹸は水に溶けにくく、中性洗剤では汚れが落ちにくい特徴があります。銅石鹸は適切な洗浄剤等を使えば、しっかりと汚れを落とすことができます。アルカリ性洗剤や、銅石鹸向けに開発された洗浄剤の使用が効果的です。
CMでもお馴染みのスクラビングバブルは、SCジョンソンの定番バスクリーナーシリーズです。これ1本で浴槽の銅石鹸だけでなく、皮脂汚れや湯垢など、浴室全体のしつこい汚れを落としてくれます。
ワンプッシュで広がる泡が汚れに浸透し、こすり洗いいらずでカンタンにお掃除ができます。
賃貸物件の退室後の清掃現場から開発されたのがこちらの「風呂職人」。頑固な汚れの層も漬け置き洗いで内側から溶かすことができます。
浴槽や床・壁、シャワーホースやカランに付着した、銅石鹸を含む金属石鹸汚れを強力な有機酸で除去します。
洗浄剤のほかに、「酢と塩」「クエン酸とアンモニア水」といった組み合わせで銅石鹸を落とすこともできます。ここでは多くのご家庭にストックがありそうな「酢と塩」を使った落とし方をご紹介します。
手順は以下の通りです。
かなり強く擦る必要があるためやや根気がいりますが、今すぐお試しいただるお手軽な方法なのではないでしょうか。パックをする前に、手が荒れてしまわないよう必ず手袋を着用してくださいね。
銅石鹸は垢に含まれる皮脂のほか、固形石鹸に含まれる脂肪酸に反応して発生します。
そのため、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムを含まない「合成洗剤系のボディソープ」を使うことで、銅石鹸の生成を抑えることができます。
浴槽に残ったお湯は、寝かせずこまめに流すようにしましょう。
入浴後のお湯は皮脂が残っていたり、体を洗った際に飛んだ石鹸が溶け込んでしまっている状態です。これを放置してしまうと、一晩かけて水中の銅と反応し青い銅石鹸を発生させてしまいます。
お湯を抜くだけでなく、浴槽の表面に垢や石鹸が残らないように洗剤を使ってしっかり洗い流してください。
浴槽のお湯をこまめに流すことも大切ですが、そもそもお湯に皮脂を落とさないことも重要です。
疲れた時は早くお風呂に浸かりたいところですが、その前にしっかりと体を洗って皮脂汚れを洗い流してからにしましょう。
このとき泡が浴槽に飛んでしまわないよう、お風呂にフタをしておくことも効果的です。
今回はお風呂のお湯が青く見えたり、浴槽に青い汚れがつく「銅石鹸」と、その掃除方法や予防方法について解説してきました。
銅石鹸は人体に無害なものなので不安になる必要はありませんが、水や一般的な風呂用洗剤では落とせない上にお風呂の見た目が悪くなってしまう少々厄介な汚れです。繰り返し発生させてしまわないためには、こまめな掃除が大切です。
銅石鹸汚れがあまりに頑固な場合は、プロのクリーニング業者へ依頼することもひとつの方法です。
銅管はしばらく使用するうちに皮膜が形成され、銅が溶出しなくなります。それまでの間は、ご紹介した方法で対策をとりながらお風呂を使うようにしてください。